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病理診断科の仕事


細胞診断

肺がんでは痰に、膀胱がんでは尿の中にがん細胞が混じることがあります。痰や尿を顕微鏡で調べてがん細胞があるかどうかを判断するのが細胞診断(いわゆる細胞診)です。子宮がん検診では、子宮頸部から細胞をこすりとって調べます。乳房などにしこりがあると、細い針を刺して吸引し、とれた細胞の中にがん細胞があるかどうかを調べる場合もあります。細胞診では資格をもつ細胞検査士(CT)との共同作業で診断を行っています。

生検組織診断

治療方針を決めるために、胃・大腸や肺などの内視鏡検査を行った際に病変の一部を採ったり、皮膚などにできものができたときにその一部をメスなどで切りとったりして、ガラス標本を作製します。これを顕微鏡で観察しどのような病気か診断します。この検査を生検といい、その診断を生検組織診断とよびます。

手術で摘出された臓器・組織の診断

摘出された臓器や組織は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を必要な数だけ切りとります。ガラス標本を作製し顕微鏡で観察し、どのような病気がどれくらい進行しているか、手術でとりきれたのか、追加治療が必要かどうか、がんの場合、悪性の程度や転移の有無など、治療方針決定に役立つ情報や予後を判断する情報を臨床医に提供します。

手術中の迅速診断

手術方針や切除範囲の決定のために、手術中に病理診断「術中迅速診断」を行うことがあります。術中迅速診断では、手術中に採取された病変組織をすばやく凍らせ、特殊な機械で薄く切り、ガラス標本を作製します。10分ほどの短時間で病理診断が可能です。診断結果は直ちに執刀医に報告され、手術方針が決定されます。病変の確定診断や病変がとりきれたかどうかの確認、がんの転移が疑われる部分を調べて手術で切除する範囲を決定するなど、適切な手術を行うために術中迅速診断は役立ちます。

病理解剖

ご遺族の承諾のもとに、病院で亡くなられた患者さんのご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」で、剖検ともよばれます。生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを判断します。病理解剖では、外からわかりにくいように切開し、診断に必要な臓器をとりだして終了します。ご遺体は解剖後に清拭されてご遺族のもとに戻されます。病理解剖の肉眼所見は、解剖を行った病理医から主治医へと報告され、ご遺族に説明されます。なお、顕微鏡所見を含めた最終診断には少し時間が必要です。病理解剖の結果が蓄積されることによって、他の方法では得がたい医学の進歩への貢献が期待されます。