骨盤臓器脱センター
骨盤臓器脱を治療し、生活の質をあげましょう
このたび当院では、2025年10月に「骨盤臓器脱センター」を開設しました。高齢化とともに骨盤臓器脱の症状に悩まれている方は増加しています。何か股にはさまったような感じがする、尿がすっきり出ない、排便するとお尻から何か出てくるなど、なんらかの症状があるものの、なかなか相談しにくい部位なので受診をためらっている方もおられるかと思います。当センターは、婦人科・泌尿器科・消化器外科が連携し、骨盤臓器脱に対するよりよい治療を提供いたします。今まで恥ずかしくて相談できなかった方も、ぜひご相談ください。
まずは当院婦人科へご相談ください
何か股にはさまったような感じがする、尿がすっきり出ない、排便するとお尻から何か出てくるなど、骨盤臓器脱にあてはまる症状がある方は、センターの窓口となる婦人科を受診してください(※)。まず婦人科で診察させていただき、症状を把握した後、最も適していると考えられる治療法を提示させていただきます。症状や治療内容によっては、その後の治療は泌尿器科、または消化器外科で行います。
※直腸脱のある男性患者さんは消化器外科を受診していただきます。
※直腸脱のある男性患者さんは消化器外科を受診していただきます。
骨盤臓器脱とは?~症状と治療方法について~
症状
女性の骨盤内には子宮、膀胱、直腸が存在し、これらは骨盤底筋という筋肉やいくつかの靭帯に支えられています。それらの筋肉や靭帯が加齢により緩んでくると骨盤臓器を支えられなくなり、臓器が腟の中に下垂し、さらには腟外に脱出してしまい、この状態を「骨盤臓器脱」といいます。
骨盤臓器脱になる要因として、出産、肥満、重いものを持ったり便秘で始終いきんだりする腹圧、などがあります。これらに当てはまらなくても体質的に骨盤を支える力が弱く骨盤臓器脱になる方もいます。
骨盤臓器脱になると、股に何かはさまったような臓器の下垂に伴う違和感、膀胱や直腸が下がることで尿や便が出にくくなる、などの症状がみられます。「お風呂で股にピンポン玉のようなものを触れた」という表現で受診される方も多いです。また、下垂により子宮や腟壁がこすれたことによる出血を主訴に来院される方もいます。
さらに男性女性ともに、肛門から直腸が脱出する場合もあります。排便時の強く長いいきみが誘因となり、直腸粘膜や、ひどくなると直腸が反転して肛門から10cm以上脱出してしまうこともあります。
これら臓器の下垂症状が単独で発生する場合もありますし、複合的にすべての臓器が下がっている場合もあります。
骨盤臓器脱になる要因として、出産、肥満、重いものを持ったり便秘で始終いきんだりする腹圧、などがあります。これらに当てはまらなくても体質的に骨盤を支える力が弱く骨盤臓器脱になる方もいます。
骨盤臓器脱になると、股に何かはさまったような臓器の下垂に伴う違和感、膀胱や直腸が下がることで尿や便が出にくくなる、などの症状がみられます。「お風呂で股にピンポン玉のようなものを触れた」という表現で受診される方も多いです。また、下垂により子宮や腟壁がこすれたことによる出血を主訴に来院される方もいます。
さらに男性女性ともに、肛門から直腸が脱出する場合もあります。排便時の強く長いいきみが誘因となり、直腸粘膜や、ひどくなると直腸が反転して肛門から10cm以上脱出してしまうこともあります。
これら臓器の下垂症状が単独で発生する場合もありますし、複合的にすべての臓器が下がっている場合もあります。
子宮脱
直腸瘤
直腸脱
膀胱瘤
腟脱(子宮摘出後)
子宮脱+膀胱瘤
骨盤臓器脱は直接命にかかわる病気ではありませんが、運動や外出を控えてしまい、生活の質を落としてしまう原因になります。また、尿や便がスムーズに出ないことにより、排尿の頻度が多くなったり残尿感や残便感を感じるようになり、ひどくなると尿が腎臓にたまり水腎症を引き起こすこともあります。
治療方法
骨盤臓器脱の治療には、保存療法と手術療法があります。残念ながら薬では治りません。根本的に解決するためには手術が必要になります。
(1)保存療法
- 運動療法
程度が軽い場合は、骨盤底筋を鍛えるように日頃から腟や肛門を締める体操をこまめに行うことで、悪化を防ぐこともできます。 - ペッサリー
ペッサリーリングと呼ばれる器具を腟の中に入れ、脱出を防ぐ方法です。外来で挿入は可能ですが、長期間留置することにより腟内に炎症が生じておりものが増えたり、出血する場合があります。
(2)手術療法
- (ロボット支援下)仙骨腟固定術
下垂した子宮体部を摘出し、子宮頸部および膀胱と腟の間、直腸と腟の間にメッシュを縫い付け、そのメッシュを頭側に引き上げ仙骨に固定する手術です。性機能が保たれ、再発率も低いため、最近の術式の主流になってきています。
当院では静岡県内の婦人科としては早い時期からロボット手術を導入しており、1cmほどの小さな針で骨盤の奥深くを縫合する操作が多いこの術式を、ロボットを用いて行っています。
仙骨腟固定術
⇒(ロボット支援下)仙骨腟固定術の詳細についてはこちらをご覧ください。
- 腟式子宮全摘+腟壁形成術
- 腟閉鎖術
- 腟式メッシュ手術(TVM)
- 直腸脱 ガント三輪手術
- 直腸脱 アルテマイヤー手術
- 直腸脱(腹腔鏡下)直腸前方固定術
同じ疾患でも、個々の病状やその方の合併症などにより治療は異なりますので、一番適した治療法を提案いたします。遠慮なくご相談ください。