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代表的な静脈疾患の治療


静脈疾患

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤

静脈瘤は、脚の皮下静脈の弁が正常に機能しなくなり、血液がうっ血を起こして循環が悪くなる病気です。血液がたまってしまうと、静脈が太くなったり、蛇行したりします。だんだんひどくなると、脚が重くて疲れやすい、脚がむくむ、脚がつる(こむら返り)などの症状がでてきます。
重症になると、皮膚炎を起こしたり、最後には皮膚が壊死を起こして治りにくい潰瘍を起こしたりします。また、静脈瘤の中で血液が固まって腫れ上がって痛くなる血栓性静脈炎を起こすことがあります。うっ血の症状は、一般に長い時間立っていた後や夕方に悪くなりやすくなります。
静脈瘤を放置するとエコノミークラス症候群になる、などと命の危険をあおって手術やカテーテル治療を勧めるような記事が以前は多く見うけられましたが、現在はそのような治療の押しつけに対して、日本静脈学会等が中心となる下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会から注意が発せられています。

下肢静脈瘤の治療

(1)弾性ストッキングによる圧迫法
弾性ストッキングや弾性包帯で脚を圧迫して、静脈のうっ血や逆流を防ぐ方法です。圧迫により、症状は楽になりますが、逆流を起こしている静脈はそのまま手つかずのため、効果はストッキングをはいている間だけで、ストッキングの着用をやめれば元の状態に戻ってしまうのが欠点です。
また、夏場などには、厚いストッキングを着用するのはなかなか困難なようです。

弾性ストッキング

(2)手術およびカテーテル療法
伝統的には静脈瘤抜去切除術(図9)が行われてきましたが、当院では高周波アブレーションカテーテル治療 (図10)を主に行っています。
ほかに、レーザーを用いたカテーテル治療や、静脈内に硬化剤や接着剤を注入して、静脈を閉塞させる方法があります。
患者さんの病態に応じて、これらを組み合わせて最適な治療が行われています。
〈図9〉静脈瘤抜去切除術
〈図10〉高周波アブレーションカテーテル治療

静脈瘤抜去切除術

高周波アブレーションカテーテル治療

深部静脈血栓症

深部静脈血栓症

主には下肢の骨の近くにある太い静脈(深部静脈)に血栓が発生して静脈の還流を妨げるだけでなく、血栓が肺まで流れてしまい、肺塞栓症を引き起こすことがあります。
深部静脈血栓症で発生した肺塞栓症はエコノミークラス症候群という名前でよく知られています。重篤な肺塞栓症は急性期に死亡することもあります。
また、深部静脈血栓症や肺塞栓症を未治療で放置した場合は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)という難病になることもあります。
また、まれではありますが、深部静脈血栓症は、心臓にシャント疾患がある患者さんの脳梗塞の原因になることもあります。

深部静脈血栓症の治療

以前は入院して静脈注射と内服薬による抗凝固療法をしなければなりませんでしたが、いまでは軽症な場合は外来治療で内服による抗凝固療法をするのが基本になっています。静脈の血流を良くしてむくみをとるために弾性ストッキングを着用していただきます。抗凝固剤に関しては、中止することができる場合がほとんどですが、血栓を作りやすい体質の方には継続することがあります。
静脈の中に発生した血栓はそのままになる場合と、自然に溶けていく場合がありますが、どちらの場合でも静脈の弁の異常が発生してうっ血の症状がひどくなる静脈血栓後遺症になる場合もあります。早期に診断して抗凝固療法や弾性ストッキングの着用をすることで、後遺症発生リスクをさげることができることが知られています。

内服薬と弾性ストッキング

深部静脈血栓症が発生して静脈うっ血が著しい場合には、カテーテルで血栓を溶かしたり血管を拡げたり、血栓を取り除くなどの外科的治療を行わなければならないことがあります。
肺塞栓症の危険が高い場合は、静脈内にフィルターという器具を留置することもありますが、長期に留置すると位置が移動したり破損したりすることが多いため、可能な限り一時留置型のフィルターを使用して、必要がなくなったら抜去しています。
深部静脈血栓症と肺塞栓症を繰り返して発生する方などで、永久に留置しなければならない場合があり、この場合には定期的な検査が必要です。

フィルターと血栓



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代表的な動脈疾患の治療