診療・治療実績
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呼吸器外科の対象疾患
肺癌
近年、肺がんの患者さんは増加の一途をたどっています。がんの部位(臓器)ごとの死亡数は、本邦では肺がんが男性で1位、女性で2位です。健康で長生きするためには、肺がんを予防し、肺がんを早期発見し、身体への負担をより少なく肺がん克服することが課題と言えます。
肺がんを治癒するための治療は、肺がんの進行病期(進行の度合い)によって少しずつ異なりますが、いずれの段階でも手術療法が必要となることが多くあります。肺がんに対する手術の方法は、開胸手術、胸腔鏡手術、ロボット支援下手術が挙げられます。歴史的には、肺がんに対する手術療法は腋の下に15 - 20 cm程度の皮膚切開で肋間筋を切開して胸を開ける「開胸手術」から開始されました。その後、内視鏡の性能やモニタリングテレビジョンの解像度の向上に伴って、数か所の小さな皮膚切開のみで行う「胸腔鏡手術」が普及し、2025年現在は胸腔鏡手術が全国的に肺がんに対する手術方法の主流となっています。それに加え、2018年4月から手術支援システムを使用した「ロボット支援下手術」が保険適応され、それ以降は全国で少しずつロボット支援下手術が広まりつつあります。個々の患者さんの状態に基づき、確実に肺がんを切除し、身体への負担が少ないよう配慮した手術方法を選択することが大切です。
静岡病院呼吸器外科では、患者さんの身体的負担の軽減を目指し、肺がん手術においてロボット支援下手術を積極的に取り入れています。ロボット支援下手術は、一般的に、従来の開胸手術に比べて身体の負担が少なく、入院期間の短縮や早期の社会復帰につながります。静岡病院呼吸器外科の2024年度の全身麻酔手術は合計 229件で、そのうち62件がロボット支援下手術でした。患者さんの早期の社会復帰・日常生活への復帰に貢献するため、積極的にロボット支援下手術を実施しております。
肺がんを治癒するための治療は、肺がんの進行病期(進行の度合い)によって少しずつ異なりますが、いずれの段階でも手術療法が必要となることが多くあります。肺がんに対する手術の方法は、開胸手術、胸腔鏡手術、ロボット支援下手術が挙げられます。歴史的には、肺がんに対する手術療法は腋の下に15 - 20 cm程度の皮膚切開で肋間筋を切開して胸を開ける「開胸手術」から開始されました。その後、内視鏡の性能やモニタリングテレビジョンの解像度の向上に伴って、数か所の小さな皮膚切開のみで行う「胸腔鏡手術」が普及し、2025年現在は胸腔鏡手術が全国的に肺がんに対する手術方法の主流となっています。それに加え、2018年4月から手術支援システムを使用した「ロボット支援下手術」が保険適応され、それ以降は全国で少しずつロボット支援下手術が広まりつつあります。個々の患者さんの状態に基づき、確実に肺がんを切除し、身体への負担が少ないよう配慮した手術方法を選択することが大切です。
静岡病院呼吸器外科では、患者さんの身体的負担の軽減を目指し、肺がん手術においてロボット支援下手術を積極的に取り入れています。ロボット支援下手術は、一般的に、従来の開胸手術に比べて身体の負担が少なく、入院期間の短縮や早期の社会復帰につながります。静岡病院呼吸器外科の2024年度の全身麻酔手術は合計 229件で、そのうち62件がロボット支援下手術でした。患者さんの早期の社会復帰・日常生活への復帰に貢献するため、積極的にロボット支援下手術を実施しております。
気胸
肺の表面に穴が開いて空気が漏れる病気です。成長期に急に身長が伸びたやせ型の若年者と、喫煙その他の慢性炎症で肺が脆くなった方に多い疾患です。再発の可能性が高ければ、穴が開いている部分を切除して縫い合わせる手術を行います。ほとんどの症例を胸腔鏡手術で行っています。
術後2~3日で退院される方が大半です。
術後2~3日で退院される方が大半です。
縦隔腫瘍
悪性度の高いものから低いもの、先天性の嚢胞性腫瘍など様々な種類があります。切除することで診断と治療が同時に完了することの多い腫瘍です。腫瘍が小さければ2~3か所の小さな傷で行う胸腔鏡手術で切除します。腫瘍が大きかったり血管や肺に及んでいる場合は、開胸手術を行います。

手術件数(術式別)― 過去3年度の比較
| 疾患 | 術式 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
| 肺癌 | 肺摘除 | 2 | ||
| 肺葉切除 | 71(64) | 40(31) | 64(57) | |
| 肺部分切除 | 10(6) | 18(18) | 14(13) | |
| 肺区域切除 | 5(3) | 8(8) | 22(22) | |
| 試験開胸 | 1(1) | |||
| 転移性肺腫瘍 | 肺部分切除 | 12(12) | 5(5) | 8(6) |
| 肺区域切除 | 2(2) | 2(1) | 4(3) | |
| 肺葉切除 | 3(1) | 1(1) | 3(2) | |
| 肺良性腫瘍 | 肺部分切除 | 6(6) | 8(8) | 4(4) |
| 肺区域切除 | 1(1) | 1 | ||
| 肺葉切除 | 2(2) | |||
| 肺炎症性疾患 | 肺部分切除 | 1(1) | 1(1) | |
| 肺葉切除 | 1(0) | 2(2) | ||
| 肺先天性疾患 | 肺部分切除 | 1(1) | ||
| 胸腺腫・胸腺癌 | 切除 | 4(1) | 4(4) | |
| 縦隔良性腫瘍 | 摘除 | 1 | 5(5) | 4(4) |
| 縦隔悪性腫瘍 | 縦隔リンパ節切除 | 3(3) | ||
| 肺嚢胞性疾患 | 肺部分切除 | 1(1) | 2(2) | |
| 肺葉切除 | 1(1) | |||
| 気胸 | 肺部分切除 | 35(35) | 26(26) | 34(34) |
| 肺縫縮術 | 1(1) | 2(2) | ||
| 試験開胸 | 2(2) | 1(1) | ||
| 肺気腫 | 気腫肺減量(LVRS) | 2(2) | ||
| 膿胸 | 郭清 | 7(7) | 5(5) | 21(21) |
| 開窓 | 2 | 1 | ||
| 郭成形術、有茎筋弁充填術 | 1 | |||
| 胸壁腫瘍 | 切除 | 3(3) | 1 | 3(2) |
| 切開排膿、洗浄 | 1 | |||
| 胸部外傷 | 血腫除去 | 6(6) | 4(2) | 2(2) |
| 血胸郭清 | 1(1) | |||
| 胸骨骨折整復 | 2 | |||
| 肋骨骨折整復 | 1 | |||
| 手掌多汗症 | 交感神経切除 | 6(6) | 1(1) | 1(1) |
| びまん性肺疾患 | 開胸・VATS肺生検 | 2(2) | ||
| 癌性胸膜炎 | 胸膜生検 | 1(1) | 2(2) | |
| 肺がんその他の腫瘍 | 腫瘍、リンパ節生検、審査開胸 | 2(2) | ||
| 縦隔リンパ節生検 | 3(3) | 1(1) | ||
| 切除 | 1(1) | 1(1) | ||
| 胸膜生検 | 2(2) | |||
肺瘻・気管支瘻 |
1 | 2(1) | ||
| 血胸 | 2(1) | 2(1) | 6(6) | |
| 乳び胸 | リンパ瘻閉鎖・胸管結紮術 | 1 | ||
| 胸郭変形 | 胸骨挙上法 | 1(1) | ||
| バー撤去術 | 1 | |||
| 肺動静脈瘻 | 腫瘍核出術 | 1 | 2(2) | |
| 肺分画症 | 1 | |||
| シェーグレン症候群 | 部分切除 | 1 | ||
| その他 | 血腫除去 | 1(1) | 2(1) | |
| 気管切開 | 1 | 1 | ||
| 気管支瘻孔縫合閉鎖術 | 1 | |||
| 大網充填術 | 1 | |||
| 肋骨切除術 | 1 | 3 | ||
| 肋軟骨切除 | 1 | |||
| 深頚部腫瘍 | 2(2) | |||
| 横隔膜損傷/試験開胸 | 1(1) |
( ):胸腔鏡補助下手術








