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胃癌・胃十二指腸疾患


胃癌は日本人の罹患率は男性で1位・女性で2位、また死亡率は男性で2位・女性で1位であり、最も気をつけるべき癌のひとつであると考えられます。内視鏡(胃カメラ)的切除の対象とならない早期胃癌と進行胃癌に対する治療の第一選択は外科的切除(手術)であり、完全切除ができれば最も治療効果が期待できます。

腹腔鏡下胃切除術

当科では、個々の患者様に合わせた、根治性(癌をなおすこと)と安全性と低侵襲性(体への負担が少ないこと)に最も優れた治療を提供するために、積極的に新しい治療法の導入に努めており、腹腔鏡下手術を胃癌治療に取り入れています。
実際の腹腔鏡手術は、開腹手術と同じ全身麻酔下で行います。まず腹腔内(腹腔:お腹の壁と臓器との間の空間のことです)に炭酸ガスを入れて膨らませ、おへそからこの手術用に開発された細い高性能カメラ(腹腔鏡)を挿入します。この際、同時に手術操作に用いる器具を挿入するために、5~10ミリの小さな傷を左右に合計4-5ヶ所に開けます。そして先のカメラで撮ったお腹のなかの様子をモニターに映し出して、胃切除や周囲のリンパ節の切除を行います。
この手術は、拡大した鮮明な画像を見ながら行うため、従来の開腹手術では見えにくかった部位や細かい血管まで見えて繊細な手術操作が可能です。腹腔内で操作を終えたあとに最後に病変を4-5cmの切開創からお腹の外に取り出します。
従来の手術で20cmほどおなかを切開した場合(開腹)と比較して、傷が小さくてすむことや、術後の痛みが少ないこと、お腹の中のほかの臓器たとえば腸管などに与える影響が少ないために術後の消化管の回復が速く早くから食事が摂れる事、入院期間が短くて早く社会復帰ができることなどが利点です。
現在、当院では早期胃がんと胃粘膜下腫瘍の患者様にこの腹腔鏡手術を行っています。

腹腔鏡下胃・十二指腸潰瘍手術

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は以前は手術的に治療することも多かったのですが、近年、胃酸抑制剤であるH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬の登場によって治癒率は改善し、手術が必要になるケースは少なくなりました。また、潰瘍は高い再発率が問題でしたが、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法で再発率は10%以下に抑えられています。
しかし、未治療の患者さんや難治性の一部のケースでは手術が必要な場合も残されています。
手術になる最大の原因は潰瘍穿孔で、潰瘍が深くなり穴が開いてしまうと、その穴から胃液、腸液や食物が腹腔内に漏れ出し腹膜炎を起こします。以前はこの状態に対して開腹下に手術を行っていました。
現在では、腹腔鏡下に潰瘍穿孔部の閉鎖手術を行っています。潰瘍の穿孔部を閉鎖し、胃から連なっている脂肪の膜である大網をかぶせて、穴を塞ぎます。そして、汚れた腹腔内を洗浄する手術を行っています。
術後は比較的早期に潰瘍が治癒し、術前と変わりなく摂食が出来るケースがほとんどです。退院後は他の潰瘍の患者さんと同様に、上記の胃酸抑制剤を内服して頂く必要があります。