泌尿器科
泌尿器科の特色
泌尿器科悪性腫瘍の治療をはじめ、 尿路結石、 前立腺肥大症、女性泌尿器科疾患、尿路感染症など泌尿器科疾患一般を幅広く診療対象としています。
腎癌
腎臓内にとどまっている早期癌であれば、手術による切除が原則です。癌の大きさや位置により、可能な限り腎臓の正常部分を残す腎部分切除術を行います。部分切除が難しい場合には、腎臓全体を摘出します。部分切除はロボット支援手術で、全摘は腹腔鏡手術で行っています。大静脈内に進展していたり周囲臓器に直接浸潤している進行腎癌に対しては、抗癌剤(分子標的薬)や開腹手術を組み合わせていますが、最近では分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤など新たな治療手段が続々と登場しており、転移があったり根治切除困難な進行腎癌でも、長期の延命やQOL維持が可能となってきています。
腎盂尿管癌(上部尿路上皮癌)
原則として、腎臓と尿管を摘出する腎尿管全摘術を行います。ほぼ全例を腹腔鏡にて行います。悪性度の低い下部尿管癌などでは、尿管部分切除術を行う場合もあります。進行してしまっていて転移がすでにある腎盂尿管癌に対しては、ゲムシタビンシスプラチン療法などの抗癌剤治療を行い、QOL(生活の質)をできるだけ維持し延命をはかるようにしています。尿路上皮癌に対しても免疫チェックポイント阻害剤が登場しました。
膀胱癌
早期であれば内視鏡手術(経尿道的手術)で治癒させることができます。内視鏡切除ができない浸潤性膀胱癌に対して、従来では開腹での根治的膀胱全摘術を行ってきましたが、長時間の開腹手術で侵襲が大きかったことから、条件さえ合えば腹腔鏡での手術を行うようにしました。2019年5月からはロボット支援での腹腔鏡下膀胱全摘術も導入し、以後のほぼ全例をロボット支援で行っています。膀胱を切除してしまうと尿の出口を新たに作成する尿路変更術が必要ですが、当院では回腸利用新膀胱、回腸導管、尿管皮膚瘻の3つの尿路変更について詳しく説明した上で、患者さんの状態や希望に応じてそのどれかを選択するようにしています。術後早期回復プログラム(ERAS)の導入により、膀胱全摘の際の入院期間が2週間程度に短縮しました。
転移のある膀胱癌に対して抗癌化学療法(ゲムシタビンシスプラチン療法や免疫チェックポイント阻害剤など)を行い、 QOL(生活の質)をできるだけ維持しながら延命をはかるようにしています。転移がない膀胱癌でも、根治性を高めるために手術前後に抗癌化学療法を行うこともあります。
転移のある膀胱癌に対して抗癌化学療法(ゲムシタビンシスプラチン療法や免疫チェックポイント阻害剤など)を行い、 QOL(生活の質)をできるだけ維持しながら延命をはかるようにしています。転移がない膀胱癌でも、根治性を高めるために手術前後に抗癌化学療法を行うこともあります。
前立腺癌
PSA値が高い方を対象に、直腸診、経直腸エコー、前立腺MRIなどを行い、前立腺癌が疑われる場合に、肛門からエコーガイドで前立腺を穿刺し組織を採取する経直腸前立腺針生検を行います。ほとんどの方が外来通院で無麻酔での経直腸前立腺針生検を選択されますが、希望に応じて短期入院、麻酔での生検も可能です。経直腸前立腺針生検で癌が見つからず、それでもPSAが上昇する場合、麻酔をかけて会陰部から穿刺する経会陰前立腺針生検を併用しています。前立腺癌が見つかると、CT、骨シンチグラフィーなどで癌の広がりを確認し、適切な治療方法を検討していきます。
早期癌には根治手術、根治的外照射、進行癌にはホルモン療法などが選択枝となります。当院で施行可能な治療だけでなく、他院で行われている治療(粒子線治療、IMRT、小線源療法)などにも言及しながら、患者さんの希望に応じた治療を提供していきます。
早期前立腺癌に対して、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(RALP)を2013年7月に開始しました。年間約60件のRALPを行っており、出血量が少なく、低侵襲で質の高い機能温存が可能となりました。周囲進展やリンパ節転移が予測される患者さんには、拡大切除や拡大骨盤リンパ節郭清などを併用し、根治率を高めるよう工夫しています。術後再発と関連する「切除断端陽性率」が他院より低い(全国平均が10-20%のところ、当院では5%以下)のが当院でのRALPの特徴です。
画像誘導照射(IGRT)74GyもRALPの代替の根治治療であり、放射線治療科と連携して施行しています。
転移のある進行前立腺癌にはホルモン療法を行います。新規ホルモン療法剤イクスタンジ、ザイティガ、アーリーダ、ニュベクオなどが発売され、去勢抵抗性前立腺癌の患者さんの余命延長に役立っています。ホルモン療法後に再燃した場合には、ドセタキセル、カバジタキセルなどの抗癌剤治療を行います。
早期癌には根治手術、根治的外照射、進行癌にはホルモン療法などが選択枝となります。当院で施行可能な治療だけでなく、他院で行われている治療(粒子線治療、IMRT、小線源療法)などにも言及しながら、患者さんの希望に応じた治療を提供していきます。
早期前立腺癌に対して、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(RALP)を2013年7月に開始しました。年間約60件のRALPを行っており、出血量が少なく、低侵襲で質の高い機能温存が可能となりました。周囲進展やリンパ節転移が予測される患者さんには、拡大切除や拡大骨盤リンパ節郭清などを併用し、根治率を高めるよう工夫しています。術後再発と関連する「切除断端陽性率」が他院より低い(全国平均が10-20%のところ、当院では5%以下)のが当院でのRALPの特徴です。
画像誘導照射(IGRT)74GyもRALPの代替の根治治療であり、放射線治療科と連携して施行しています。
転移のある進行前立腺癌にはホルモン療法を行います。新規ホルモン療法剤イクスタンジ、ザイティガ、アーリーダ、ニュベクオなどが発売され、去勢抵抗性前立腺癌の患者さんの余命延長に役立っています。ホルモン療法後に再燃した場合には、ドセタキセル、カバジタキセルなどの抗癌剤治療を行います。
その他の泌尿器科領域悪性腫瘍
精巣腫瘍(セミノーマ、非セミノーマ)に対する高位精巣摘除術、後腹膜リンパ節郭清術、抗癌化学療法(BEP、VIP、TIPなど)、陰茎癌に対する陰茎部分切除術、陰茎全摘術、鼠径リンパ節郭清術、抗癌化学療法などを行っています。
副腎腫瘍
サイズが大きく増大傾向があり癌が疑われる場合、あるいは副腎ホルモン(カテコラミン、アルドステロン、ステロイドホルモン)が過剰に産生されている場合に、摘出術を行います。ほとんどの副腎腫瘍は腹腔鏡で切除できます。他領域の悪性腫瘍が副腎に転移した場合にも、積極的に腹腔鏡切除を行っています。
尿路結石
腎結石、尿管結石に対して、体外衝撃波結石破砕(ESWL)、経尿道的尿管結石砕石除去術(TUL)、経皮的尿路結石除去術(PNL)などが可能です。これらを組み合わせて結石の完全摘除を目指すとともに、投薬や生活指導などで再発予防に務めるようにしています。
前立腺肥大症
α受容体遮断薬(タムスロシン、シロドシンなど)、5α還元酵素阻薬(デュタステリド)、PDE阻害薬(タダラフィル)などを用いた投薬治療を行っています。手術治療が必要な場合には、生理食塩水を用いた経尿道的前立腺切除術(TURis-P)を行いますが、最近では従来の切除術に比べて切除量が多く出血も少ない経尿道的前立腺核出術(TUEB)を主に行っています。抗凝固剤中断が難しい方や、巨大な前立腺肥大症の方には、経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)や経尿道的前立腺レーザー蒸散術(PVP)が可能な他施設に紹介することもできます。
女性泌尿器科領域
過活動膀胱、神経因性膀胱の患者さんが多数来院します。QOL(生活の質)を重視し、生活指導や投薬を行います。間質性膀胱炎に対して、投薬で改善しない場合に、膀胱水圧拡張術を行っています。重度の過活動膀胱に対する「仙骨神経刺激療法(SNM)」、「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」が保険適応となり、使用可能となりました。
性器脱に対して、メッシュを膣壁に埋め込んで支えるTVM(Tension-free Vaginal Tape)を行っています。腹圧性尿失禁が骨盤底筋体操指導や投薬で改善しない場合に、尿道をメッシュテープで支えるTOT(TransObuturator Tape)を行っています。
性器脱に対して、メッシュを膣壁に埋め込んで支えるTVM(Tension-free Vaginal Tape)を行っています。腹圧性尿失禁が骨盤底筋体操指導や投薬で改善しない場合に、尿道をメッシュテープで支えるTOT(TransObuturator Tape)を行っています。
外来
※月曜日、水曜日、金曜日の午後は完全予約制でストーマ外来やレントゲン検査、前立腺生検、ESWLによる砕石術、面談を行っています。